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「YouTubeで人気?それとも実力?」〜eMAXIS Slimシリーズ人気の裏側とマグニフィセント7の真実〜

コロナ以降、投資ブームが一気に加速しました。なかでも、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、多くの個人投資家から支持を集め、ネット証券のランキングでも常連となっています。

たしかに「低コスト」「長期投資に最適」といった魅力はありますが、果たしてここまで人気が出た理由は“実績”によるものなのでしょうか?それとも、“情報発信の影響力”が先行しているだけなのでしょうか?

投資判断が「YouTube主導」に?

ここ数年、多くのYouTuberやインフルエンサーが「S&P500に投資すれば間違いない」「オルカンが最強」と繰り返し発信しています。投資初心者にとって、動画で分かりやすく教えてくれる情報はとてもありがたい存在です。しかし、問題は“実力”と“印象”が一致しているとは限らないこと。

YouTube上では、あたかも「S&P500はどんな時でも右肩上がり」「全世界投資なら安心」といったメッセージが多く見られます。しかし、それらの魅力を語る上で“肝心なこと”が見落とされているケースも少なくありません。

牽引役は「マグニフィセント7」

S&P500や全世界株式(オルカン)がここ10年で大きなリターンを上げてきたことは事実です。しかし、その裏には“特定の銘柄”の突出したパフォーマンスがあることを理解すべきです。

その代表格が「マグニフィセント7」と呼ばれる米国のハイテク大手企業です。

  • アップル

  • マイクロソフト

  • アルファベット(Google)

  • アマゾン

  • メタ(旧Facebook)

  • エヌビディア

  • テスラ

これら7社は、2020年のコロナショック以降、世界の株式市場の中心的存在となり、驚異的な株価上昇を見せました。たとえば、エヌビディアは2013年から2023年の10年間で株価がおよそ100倍以上に、テスラは40倍超に上昇。アップルやマイクロソフトも10倍近い上昇を記録しています。

この7社だけで、S&P500の約30%近いウェイトを占めており、実質的に「S&P500=マグニフィセント7ファンド」と言っても過言ではありません。

S&P500全体はどうだったか?

では、S&P500全体のパフォーマンスを見てみましょう。

2013年から2023年までの約10年間

S&P500:約3.2倍(年平均リターン約12%程度)。

マグニフィセント7:約25倍

この数字だけを見ると、S&P500はたしかに優秀なインデックスのように思えます。しかし、マグニフィセント7の存在を除いて考えた場合、その成長率はぐっと鈍化します。

実際、S&P500からマグニフィセント7を除いた「S&P493」のリターンは大きく下がるという分析もあり、全体の平均を引き上げていたのは明らかにこれら“ごく一部の銘柄”だったのです。

まとめ:今こそ「中身を見極める目」を

eMAXIS Slimシリーズは、確かに「低コストで人気のインデックス投信」です。しかし、それが人気である理由の多くは、YouTubeやSNSでの“バズ”による部分が大きいのも否めません。そしてその人気の裏にあるのは、マグニフィセント7という“スーパースター銘柄”たちの存在です。

「とりあえずS&P500」「なんとなくオルカン」といった投資ではなく、「なぜこのリターンが出たのか」「今後も同じように伸び続けるのか」を冷静に見極めることが、これからの時代の投資家に求められる視点です。

人気の理由を鵜呑みにせず、ぜひ“数字の背景”まで掘り下げて、自分の投資判断を磨いていきましょう。

ご不安な方は、ぜひご相談ください。

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