老後における「お金」は「砂漠の水」と同じ この意味がわからないと老後で詰む
資産運用の相談をしていて、いつも思うことがあります。
それは、
現役時代の1,000万円と、老後の1,000万円は、同じ1,000万円でも価値が全然違う
ということです。
私はよく、老後における「お金」は**「砂漠の水」と同じ**だと思っています。
現役時代は「水が湧いてくる」
例えば40歳、50歳の現役世代。
毎月会社から給料が入ってきます。
砂漠に例えるなら、
使っても、また水が湧いてくる状態
です。
だから、NISAで持っている投資信託が一時的に20%下がったとしても、それほど困りません。
「まあ、そのうち戻るでしょ」
と言って待つことができます。
生活費は給料から払えばいいからです。
これが現役世代の強さです。
ところが、65歳になって会社を退職すると状況は一変します。
老後は「水に限りがある」
退職後、給料という水源はなくなります。
入ってくるのは基本的に年金。
しかし、年金だけで生活費のすべてを賄えないのであれば、足りない分は自分の資産から取り崩さなければなりません。
つまり老後は、
持っている水を少しずつ飲みながら砂漠を歩く
ような状態になるわけです。
ここで非常に重要になるのがNISAです。
「NISAで老後資金を作っておけばいいじゃん!」
YouTubeではよくそんな話をしています。
もちろん、NISAはやった方がいい。
私もNISAそのものを否定しているわけではありません。
問題は、
NISAだけで老後を乗り越えようとすること
です。
投資信託は毎日右肩上がりではない
NISAの中でオルカンやS&P500などの投資信託を保有している方も多いでしょう。
長期間で見れば成長してきた資産です。
でも、勘違いしてはいけません。
投資信託は、
昨日より今日。
今日より明日。
明日より明後日。
と、毎日少しずつ右肩上がりになるわけではありません。
上がる年もあれば、下がる年もある。
場合によっては大きく下落することもあります。
現役時代なら待てばいい。
でも老後は違います。
生活費は待ってくれないからです。
食費もかかる。
電気代もかかる。
固定資産税もかかる。
病院にも行く。
旅行だってしたい。
つまり、株価が上がっていようが下がっていようが、お金は毎月必要なんです。
下落時の取り崩しが怖い
例えばNISAが3,000万円あったとしましょう。
ところが相場が下落して2,400万円になった。
それでも生活費が必要だから100万円取り崩す。
すると残りは2,300万円です。
ここが老後資産運用の怖いところです。
値下がりしたところからさらに取り崩してしまうと、その後相場が回復しても、回復の恩恵を受ける元本そのものが小さくなっています。
その結果、
「90歳くらいまで持つと思っていたのに……」
ということが起こり得ます。
いわゆる資産寿命が短くなるわけです。
「とりあえずNISA」では老後設計にならない
だから私は、
「とりあえずNISAをやっておけば大丈夫」
という考え方には賛成できません。
若いうちの資産形成としてNISAを使う。
これは大賛成です。
でも、
65歳以降も同じ考え方でいいのか?
ここまで考えなければ、本当の意味での老後設計にはなりません。
砂漠を歩き始めてから、
「思ったより水が減るのが早い!」
と気づいても遅いんです。
現役と老後では「お金の価値」が変わる
現役時代は、
「お金を増やす」
ことを中心に考えられます。
でも老後は、
「お金をなくさず、安定して使い続ける」
という考え方が重要になります。
つまり、
現役と老後では、お金の価値も資産運用の考え方もまるっきり変わる
ということです。
NISAが悪いわけではありません。
オルカンやS&P500が悪いわけでもありません。
大切なのは、
人生のどの時期に、どんな目的で使うのか。
若いときには若いときの資産運用。
老後には老後の資産運用があります。
老後という長い砂漠を最後まで歩き切るために、どれくらいの水が必要なのか。そして、その水をどんな形で持っておくべきなのか。
そこまで考えることが、本当のライフプランニングだと思っています。