なんで円安が続くのか 証券アナリストが簡単に解説
円安が起こる理由
そういえば、私、証券アナリストでもあるんですよ(^^;)
世間の資格試験で経済学を学ばないといけないのって、不動産鑑定士と証券アナリストくらいなんです。
公認会計士の経済学は選択科目なのでほとんどの人が選びません。
さて、本題
円安になる理由
5つくらいあるんですが、今回はこの2つ
①日本の物価が今後高くなる
②日本の金利が今後低くなる
①も②も、いま高いか低いかではなくて、「今後の予想」で為替相場が動くって話
金融緩和って?
ニュースを見ると、「質的量的金融緩和」って聞くじゃないですか。
円安はこれと密接に絡みます。
まずは、「量的」金融緩和は、銀行とかが持っている国債を、日銀が「買う」こと。
つまり、日銀が銀行から国債を買えば、銀行はお金をゲットできる。
「量的」だから、何兆円も買うって話。
「質的」っていうのは、これまで満期が近い国債を買っていたのに対して、これからは満期が5年くらい先の国債も買うよという話。
だから、金融緩和って、早い話が、銀行から国債を買うってことなんです。
じゃあ、私たちの身近にある銀行にお金が流れた来たらどうなるか?
お金があふれるから「お金の値段=金利」が下がりますよね?
もう一度言いますが、金融緩和って、お金を大量に世間に流した結果、自然に金利を下げることなんです。
よく、昭和世代の経済学部出身の方が「公定歩合」がうんちゃらかんちゃら言ってたりしますが、あの政策はとっくの昔に終わってます(^^;)
ついでに、経済学部の人が習う IS-LM曲線っていうのは、昔もいまも使われています。
金融緩和で金利が下がったらどうなる?
金利が下がれば、お金を借りやすくなるので「設備投資」が増えます。
「設備投資」が増えれば、GDPが上がります。
というわけで、金利を下げて設備投資を増えたらGDPが増える、というのは簡単に理解できると思います。
これで話は終わらない マイナス金利とは? 実質金利=名目金利-「期待」インフレ率
金利が下がり、需要(=設備投資)が増えたら、変わりそうなものがあります。
それが「物価」。
モノの需要が増えれば、これから物価が上がるぞ~ってみんなが予測しますよね?
それが「期待」インフレ率
小タイトルにフィッシャー方程式という経済学の有名な数式を記載しました。
これを変形すると、
期待インフレ率=名目金利-実質金利 となります。
例えばこんな感じ。
10年国債利回り(名目)…1.5%
10年物価連動国債利回り(実質)…0.5% だとしましょう。
この場合の、期待インフレ率=1.5%-0.5%=1%
10年物価連動国債利回りは0.5%だけど、ここにインフレの1%も乗ってくるから、結局1.5%になるということです。
さて、たしか日銀の金融の方針は、「インフレ2%」ですよね?
この式を見ると、期待インフレ率を上げるためには、名目金利を上げるか、実質金利を下げないといけないですよね。
この場合、でも、わかりやすく名目金利を上げると景気がわるくなる。だから、ちょっとぼかした感じで物価を上げたい。
名目金利はそのまま。でも、これからインフレにしていきます(期待)!
そうすれば、実質金利は下がります。
日銀がそれでもインフレにもっていくために実施した政策がゼロ金利を通り越した「実質マイナス金利政策」というアナウンスメント!
フィッシャー方程式に当てはめると、
②実質金利をマイナスにしてでも、インフレ率を ↑したいわけです。
とりあえず、見た目のGDPは上がりますから。
物価 ↑への期待、金利の↓ お!2つ揃った
冒頭に話した、円安に進む条件である
①物価が今後上がりそうだ
②金利も今後下がりそうだ
なので、今後も円安は続くわけです。
もし円高に振れるとしたら、こんな理由
①アメリカの物価が今後以上に上がること
②ロシアとウクライナの戦争が終わること
の2つが挙げられます。
①はあまりないかなと。
いまでもアメリカの物価上昇は異常ですが、全然円高に行かないですからね(^^;)
だとしたら、②かな。
為替相場の変動理由に、③「世界情勢」というのもあります。
そこそこ大きな戦争が起こると今後どうなるかわからないから、とりあえず「ドル」持つか!ってなる人が多いんですよ。
なので、いまの円安は③の要素もあるはずです。
しばらくは円安が続く
なので、もしかしたら今の水準でもドルは安いかも。
それなら、今のうちにドルを買っておくのも一つかも…