そろそろ為替介入? 為替介入はこういう仕組み
そういえば証券アナリストの全国模試で「為替介入」が出題されたのですが、本試験でもばっちり出題されました。
ここ最近も円安が続く。為替介入のやり方は2つある
ここ最近も円安が続き、1ドル=150円を突破し、151円まで行きました。
こういう時ニュースで、「政府の為替介入が入るのでは?」ということを聞いたことはないでしょうか。
為替介入とは、簡単に言えば、
・円安を回避したい:円を買って、ドルを売る→円高
・円高を回避したい:円を売って、ドルを買う→円安
ここまでは理解できると思います。
ただ、このブログでもお話ししたと思いますが、市場に大量のお金を流したり・吸収してしまうと、「金利」に影響しちゃうんですよ(^^;)
それが思わぬ副作用を生む可能性もあるんですね。
というわけで、為替介入には、市場のお金の量を+-してもいい為替介入と、+-しない為替介入の2つがあるんです。
それが、非不胎化介入と不胎化介入。
非不胎化介入は、市場のお金を+-するパターン
非不胎化介入は、市場のお金も動かすし、その結果金利が動いても放置する為替介入のことです。
まあ、いまの金融政策は、為替介入と金融緩和を別個で考えていると思うので、双方に影響するこっちのパターンはあまりやらないかなと思います。
やり方はこんな感じ。
政府がドルをたくさん売って円高にするということは、誰がそのドルを買うかという話。
誰がドルを買うのか。それは民間の銀行です。
民間の銀行が、日銀を通して政府からドルを買います。
例えば、政府が持っている100億ドル(外貨準備高ってやつ)はこんな感じで動きます。
政府 → 日銀 → みずほ銀行
で、みずほ銀行は、100億ドルの過剰になり、相対的に「円」の価値が上がります。
結果的に「円高」になります。
ここで、さっきの 日銀 → みずほ銀行 がミソになります。
みずほ銀行は、確かに日銀から100億ドル買います。
ですが、日銀に払う対価は、もともと日銀に預けていた「日銀当座預金」というお金から払われます。
この「日銀当座預金」。
詳しくは書きませんが、みずほ銀行にとって「日銀当座預金」が減ると、貸し出せるお金が減ってしまうんですよ(^^;)
つまり、市場のお金が減ってしまうという話になります。
市場のお金が減ると、金利に影響してしまう…
そして、それによって思わぬ副作用が出てしまうかもしれない。
でも、そこは放っておく。これが非不胎化介入です。
不胎化介入は市場のお金は変わらない。だから金利に影響しない
先ほどの非不胎化介入は、ドルを売ったり買ったりして為替介入には成功。
でも、「日銀当座預金」が増減したせいで、金利まで動いちゃったパターンでした。
不胎化介入は「日銀当座預金」が増減しません。だから、金利は動きません。
このやり方は、政府が売った100億ドルを、みずほ銀行が買うところまでは、さっきと同じ。
で、みずほ銀行が日銀に持っていた「日銀当座預金」が減るのも、さっきと同じ。
どこが違うか。
「日銀当座預金」が減ったと同時に、日銀が同額の国債をみずほ銀行から買う。
買うと言っても、お金をハイどうぞとやるのではなく、「日銀当座預金」を増やす感じです。
「日銀当座預金」が減った分、増やす=打ち消す=不胎化 という意味。
そうすれば、日銀当座預金は動かない → みずほ銀行が貸せるお金も減らない → 市場のお金の量は変わらない → 金利は変わらない → 副作用なし。になるわけです。
2022年、年末の日経新聞の記事にも書いてありました。
為替介入はするけど、他には影響させない。それほど簡単にいくのかどうか(^^;)